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【高級珈琲?】スペシャルティコーヒーとは

2024-06-10

スペシャルティコーヒー
最近耳にするようになったのではないでしょうか。

なかには1杯5000円ほどのコーヒーがあったりしますが、「スペシャルティコーヒー」=「高級珈琲」というわけではございません。
スペシャルティコーヒーは、香り高く、味わい深く、高品質であることはもちろん、コーヒーファーマー・ロースター・バリスタの思いがこもったコーヒーです。

まだ出会っていない方は、一度味わえば、珈琲感が変わると思います。
そんな「スペシャリティコーヒー」について、この記事ではわかりやすく説明していきます。

1. スペシャルティコーヒーの定義

日本スペシャルティコーヒー協会(SPECIALITY COFFEE ASSOCIATION OF JAPAN / SCAJ)』は下記のように説明しています。

スペシャルティコーヒーとはどんなコーヒーか

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)
具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。

スペシャルティコーヒーとは、コーヒー豆の品質が極めて高く、独自の風味や香りを持ち、特定の地域や生産者によって生産されるコーヒーを指します。具体的には、カップ評価(後述:3. スペシャルティコーヒーのカップ評価)で80点以上を獲得したコーヒーがスペシャルティコーヒーと認定されます。

日本スペシャルティコーヒー協会は、生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、スペシャルティコーヒーの要件として、サステナビリティトレイサビリティの観念は重要なものと考える。

https://scaj.org/about/specialty-coffee

トレイサビリティ

追跡可能性。原材料・部品の調達から加工、組立、流通、販売の各工程で製造者・仕入先・販売元などを記録し、履歴を追跡可能な状態にしておくこと

サステナビリティ

持続可能性。「環境・社会・経済」の観点から、今後長期間にわたって地球環境を壊すことなく、資源も使い過ぎず、良好な経済活動を維持し続けること

簡潔にまとめると、以下3つの条件を満たすコーヒーが「スペシャルティコーヒー」として認定されます。


スペシャルティコーヒー協会(SCA, Specialty Coffee Association)が定める、カップ評価の基準をクリアしていること。

2. スペシャルティコーヒーが生まれた背景

スペシャルティコーヒーの概念は、1970年代に米国で始まりました。この時期、コーヒー業界では質の向上と消費者の多様なニーズに応えるために、新たな品質基準が求められるようになりました。消費者が品質の高いコーヒーを求めるようになり、同時に生産者も品質を重視した栽培方法にシフトするようになりました。

3. スペシャルティコーヒーのカップ評価

カップ評価(カッピング)とは、コーヒーの品質を評価するための標準的な方法です。評価項目は以下のとおりです。

1. カップのきれいさ

カップのきれいさとはコーヒーの品質の基礎となるものです。「風味の欠点」が全く無く、コーヒーの栽培地特性「Terroir/テロワール」がはっきりと表現されるために必須な透明性があることが求められます。

2. 甘さ

甘さとは、焙煎されたコーヒーに含まれる糖の量が絶対的なものではなく、甘さの印象度を創造する他の成分・要素との関わりにより判断されます。糖が高くても、甘さを感じることを阻害する要因(嫌な苦味、刺激的な酸味、渋み等)が有ると甘さを感じにくくなります。

3. 酸味

明るい爽やかな酸味をどれほど感じることができるかが評価対象です。良質な酸味は、コーヒーに生き生きとした印象を与えます。酸っぱいコーヒーが苦手な方は多いかと思いますが、おいしいコーヒーは上質な酸味を持っているのです。

4. 質感

コーヒーにより伝えられる触覚です。口に含んだ質感、舌に乗ってくる感覚でしょうか。中には不快なざらつきを感じるコーヒーもありますが、スペシャルティコーヒーは心地よい質感を持っています。

5. 風味特性・風味のプロフィール

スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーを区別する最も重要な項目です。
栽培―収穫―回収―選別―生産処理―保管―焙煎―抽出が理想的に行われれ、かつコーヒーが栽培地特性「Terroir/テロワール」を純正に表現できているかを明確に評価します。コーヒーの「香り」もこの項目で評価されます。

6. 後味

コーヒーを飲んだ後の「舌に残るコーヒー感」が、すっきりした感覚か、甘さの感覚、あるいは、嫌な感覚が残るのかを判定します。

7. バランス

コーヒーは風味の調和が取れているのか。何か突出するものは無いか、何か欠けているものは無いかを判断します。評価は100点満点で行われ、80点以上を獲得したものがスペシャルティコーヒーと認定されます。

4. スペシャルティコーヒーの認定機関

スペシャルティコーヒーの認定は、主に以下の機関によって行われます。

  • スペシャルティコーヒー協会(SCA, Specialty Coffee Association)
    評価基準とプロトコルを策定し、品質評価を行う。
  • CQI(Coffee Quality Institute)
    Qグレーダーと呼ばれる資格を持つ専門家が評価を行う。 

認定基準は、カップスコアだけでなく、生豆の欠点数なども含まれます。

5. スペシャルティコーヒーが生産者にもたらす影響

スペシャルティコーヒーの生産は、品質向上と持続可能な農業実践を促進するため、生産者に以下のような影響を与えます。

収入の向上

高品質のコーヒーは高値で取引されるため、生産者の収入が増加します。

技術と知識の向上

品質管理のために生産者が新しい技術や知識を習得する機会が増えます。

持続可能な農業

環境に優しい農法が奨励され、長期的な農業の持続可能性が向上します。

6. スペシャルティコーヒーとフェアトレード

スペシャルティコーヒーとフェアトレードは、どちらも生産者の経済的および社会的な福祉を向上させることを目的としていますが、アプローチが異なります。

  • スペシャルティコーヒー
    品質に焦点を当て、生産者が高品質のコーヒーを生産することで高価格を実現する。
  • フェアトレード
    公正な価格と労働条件を保証し、生産者の生活向上を目指す認証制度。
    国際フェアトレード認定商品はコーヒーだけでなく、紅茶、チョコレート、コットンなどがあります。

具体的なアプローチについて見ていきましょう。

品質と価格の関係

スペシャルティコーヒーは、高品質で風味豊かなコーヒーであり、通常は市場価格よりも高い価格で取引されます。品質の追求により、生産者により高い収入をもたらす可能性があります。

フェアトレードは、コーヒー生産者が最低価格を保証されることで、彼らの生活水準を向上させることを目的としています。これは、生産者による労働条件や持続可能性の向上にも焦点を当てています。

直接取引とコミュニティの支援

スペシャルティコーヒーは、通常、直接取引や直接のパートナーシップを通じて生産者との関係を築きます。このような関係は、生産者により公正な価格を支払い、コミュニティの持続可能性を支援することを目指しています。

フェアトレードは、コーヒー生産者が公正な価格で自分たちの生産物を販売する機会を提供することで、彼らの生活状況を改善することを目指しています。

持続可能性と環境への配慮

スペシャルティコーヒーの多くの生産者や焙煎業者は、持続可能な農業実践や環境保護に焦点を当てています。これにより、土地や資源の保護、そしてコーヒーの品質の維持が促進されます。

フェアトレードは、生産者が持続可能な農業実践を行うことや、環境への配慮を重視しています。

総括すると、スペシャルティコーヒーとフェアトレードは、それぞれ異なるアプローチや焦点を持っています。しかし、両者が組み合わさることで、生産者はより高い収入を得られ、持続可能な農業実践が促進されます。どちらも持続可能なコーヒー産業の実現のためのキーポイントです。

7. スペシャルティコーヒーは浅煎りしかない?

スペシャルティコーヒーは一般的に浅煎りが好まれます。これは、浅煎りにすることで豆の風味や酸味が最大限に引き出されるからです。

また、焙煎度が低いほど、コーヒー豆の本来の特徴や甘味が残りやすくなります。そのため、スペシャルティコーヒーの生産者や焙煎士は、より繊細な風味を引き出すために、浅煎りを選択する傾向があります。

8. スペシャルティコーヒーロースター

日本にはスペシャルティコーヒーを扱う有名な店舗が数多く存在します。以下に代表店舗を紹介します。

ブルーボトルコーヒー(Blue Bottle Coffee)

アメリカ発のブルーボトルコーヒーは、東京を中心に数店舗展開しています。スペシャルティコーヒーのパイオニアとして知られ、厳選されたコーヒー豆と高品質のバリスタ技術で人気を集めています。

猿田彦珈琲(Sarutahiko Coffee)

恵比寿に本店を構える猿田彦珈琲は、日本国内でのスペシャルティコーヒーの先駆者的存在です。豆の品質にこだわり、独自の焙煎技術とバリスタの技術で高い評価を受けています。

%アラビカ(% Arabica)

京都を拠点とする%アラビカは、世界各地に店舗を展開する人気店です。美しい店舗デザインとともに、厳選されたスペシャルティコーヒーを提供しています。

コーヒー カウンティ(Coffee County)

福岡を拠点とするコーヒーカウンティは、直接貿易で仕入れたスペシャルティコーヒー豆を提供するロースタリーカフェです。豆の選定から焙煎、抽出まで徹底した品質管理が特徴です。

カフェ グローブ(Cafe Globe)

東京・表参道に位置するカフェ グローブは、スペシャルティコーヒーを提供するカフェとして人気があります。多彩な豆のラインアップと、居心地の良い空間で知られています。

これらの店舗は、それぞれ独自のスタイルとこだわりを持ちながら、高品質のスペシャルティコーヒーを提供しています。日本国内でスペシャルティコーヒーを楽しむ際には、ぜひ訪れてみてください。


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おれんじうさぎ

元STARBUCKSパートナー。元都内某カフェ店長。日本のカフェ文化を広めたい人。いつか自分のお店を出すことを夢見る人です。 ぜひ応援、Instagramのフォローお願いいたします。

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